文化財の健全度調査

延宝2年(1674年)に現在の姿として建設された錦帯橋は、昭和25年(1950年)のキジヤ台風の来襲によって流失し、昭和28年に再建されました。
以来40年有余が経過し、橋体の腐朽・老朽化が進行したため、橋体修復計画(「平成の架け替え計画」)が実施されました。
この架け替え計画では、文化財の価値を高めるため、橋脚の「空石積み」への復元の可能性や安全性に対する検討が重要課題として挙げられました。

発注機関:岩国市 錦帯橋建設局
錦帯橋は、国指定の「名勝」という文化財であるとともに、現在も人道橋として供用されている橋梁であり、橋梁の安全性に対して下部工も重要な項目であるため、現況下部工の状況(変状、地盤、材料等)調査および現在の設計基準に準じた安全性の検討等により、下部工健全度の調査を行いました。
調査・検討の結果では、現在のケーソン基礎形式の橋脚には、特別大きな異常も見られず、敷き石の整備を定常的に行い定期点検を実施し続ければよい状態になること、錦帯橋の文化財的価値から判断すれば、創建当時の空石積橋脚に復元することの意義は大きいが、空石積橋脚が過去に洪水で破壊した実績があり、地震にも安全性が低いこと、さらに現在の橋脚が今後数十年は十分な強度を保持する見込みであることなどが判明しました。これらの結果を総合的に判断し、現在の橋脚をそのまま利用することを結論づけました。
錦帯橋 下部工健全度調査

調査内容

外観に関する調査

橋台・橋脚の沈下等の変動の有無に着目した測量調査、護床工の変動の有無および敷石の大きさ、種類等の分布状況に着目した護床工の調査、石積みのズレ、ワレ、遊離石灰の有無等の劣化状況に着目した橋台・橋脚の表面調査を実施しました。

地質に関する調査

錦帯橋周辺地盤の地質構成、各地質の強度・変形特性等を把握するため、調査ボーリング、標準貫入試験、孔内水平載荷試験、現場透水試験、密度・PS検層、速度検層、および室内土質試験を実施しました。併せて、調査結果により、地震時の地盤液状化について検討を実施しました。

橋脚基礎周辺地盤の状況調査

流心部を含めた基礎周辺地盤の緩み、および空洞の有無の確認調査を実施しました。

錦帯橋下部工の材料調査

橋脚コンクリートの強度、物性値および劣化状態を把握するため、橋脚コンクリートをボーリングして採取したコアを試験試料として、コンクリートの圧縮強度試験、引張強度試験、および中性化試験を実施しました。また、橋脚に使用している鉄筋の材料特性を把握するため、橋脚の露出している鉄筋をサンプリングし、引張強度、ブリネル硬さ試験、および成分分析を実施しました。

検討内容

現況橋台・橋脚の安定照査

上記調査結果を踏まえて、現況橋台・橋脚の安定性ならびに各部材の応力状態について道路橋示方書(平成8年12月)に準じ照査を実施しました。
併せて、大地震時の現況橋脚・ケーソン基礎の挙動を把握するため、2次元有限要素法による地盤の材料非線形性を考慮した、時刻歴応答解析を実施しました。

石積み橋脚の安定検討

昭和28年の再建時に確認された創建時下部工の諸元を踏まえて、2次元有限要素法による石積み橋脚の安全度の検討を実施しました。
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